経木の歴史
大和時代(今から1,500年前)に仏教が伝わってきた当時は、紙が貴重で手に入れにくく、紙の代用品として薄く加工した木にお経を書いたとされています。
『お経を書く木』 ===> 『経木(キョウギ)』となったとも言われている。
この当時は、今の経木の薄さではなく、もっと厚かった。
今の経木(薄い経木)となった起源はいつから?
薄くなったのは『付木(ツケギ)』と思われます。付木とは、火を他の場所へ移すために使わる薄く削った木をに硫黄を塗ったもので、江戸時代初期〜中期頃に生まれました。
いつから食べ物を包むようになったのか?
江戸時代末期には竹の皮でおむすびなどを包んでいたが、竹皮不足が問題になりました。これを商機と今の埼玉県で付木屋を営んでいた宮嶋勘左衛門が付木を竹の皮と同サイズに加工して代用したことが始まりとされている。
なぜ途絶えたのか?
江戸時代から昭和初期にかけて人々の暮らしを支えることとなった経木でしたが、戦後、高度経済成長に伴い『物流革命』により色々な産業がものすごいスピードで成長。スーパーマーケットなどの大型店舗の誕生により、事前に梱包された商品が販売されるようになり、大量に生産できるプラスチック製品が使われるようになったことで経木が私たちの暮らしから徐々に姿を消すこととなりました。
経木の効果
- 見た目の美味しさを演出できる
- 美味しさを引き立てる
- 水分を程よく吸い、食材のベタつきを防ぐ
- 抗菌作用で食材の鮮度をキープできる
- エコ
1周まわって2024年に再ブームか!?
プラスチックごみの削減にもつながる経木が今注目を集めています。
また、昔懐かしかったり、そもそもの経木の効果が見直されている。
出典:Yahooニュース
出典:Yahooニュース
作っている会社は?
経木を作っている会社は日本全国で10社程度しかない。特に注目されている会社が『有限会社セイワ電子』(福島県只見町)と言う会社です。
出典:Yahooニュース
経木なのに電子の会社???
1989年に創業し、カメラ部品などの組み立てを主に行ってきたが、時代の流れとともに仕事が減少していた。その中、5年前に友人から『プラスチックごみを減らすため、工場で経木を作れないか?』と相談されたのをきっかけに、目黒社長は経木について調べ始めました。
1年かけて機械組み上げた
会社の方針を大きく舵を切った目黒社長。宮城県で経木の製造を行っていた工場から機械を譲り受けた。
引用:Yahooニュース
譲り受けた機械は約60年前の昭和42年製で古く、部品も多く部品を確認しながら1年かけて機械を組み上げた。
『説明書もないですから、本当にそこは手探りで何とかやったという感じです』と目黒社長は語る。
経木の厚みは0.18ミリ。製造を始めた当初は厚みが安定したものを作ることができず、軌道に乗せるまでおおよそ2年かかったとのこと。
1周回って新しい!?目指すは世界!
古きよきものに注目し、環境問題に取り組む目黒社長。工場では月に2万枚の経木を作っていますが、企業からの注文が入り、今では製造が追いつかない程。
海外での日本食ブームに乗って、この経木も海外に発信できたらいいんじゃないかと。訪日外国人の方も多くいるので、彼らの目に留まるような飲食店での経木の使い方も伝えていきたいとのこと。
まとめ
高度経済成長で大量消費に対応できる工業製品の普及により、環境問題を抱えている世界各国が問題に局面しています。環境問題の解決策のヒントになる事例です。
環境問題と生産性を両立できる工業製品の新たな開発が企業に求められている昨今、消費者である個人も消費額と物の価値観を見直すことが、今後の環境問題解決につながるのでは!
出典:Yahooニュース「製造が追いつかない…」厚さ0.18ミリの薄~い『経木』が今、一周まわって新しい!
参考文献:「経木 ものと人間の文化史37」 田中信清(法政大学出版)
参考記事:https://yamatowa.co.jp/news/story/shiki-rekishi/